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テクノデリック (Technodelic) は、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の6作目のアルバム。1981年11月21日アルファレコードからリリースされた。

解説[]

『テクノデリック』は世界最初期にサンプリングを利用したアルバムで”世界初のサンプリングミュージック”と言われることがある(詳細は後述)。

アルバム全体として、ミニマル・ミュージックが取り入れられているのも特徴であるが、後日細野晴臣は「YMOのミニマルは完成せずして歌謡曲路線に行ってしまった」とのコメントしている。

前作『BGM』ではほとんど使用されていなかった生楽器が強調されているのもこのアルバムの特色である。

アルバムのタイトルは「テクノ+サイケデリック」の造語である。

細野がこだわっていたプロデュースのクレジット名が今回は「細野晴臣+YMO」となった。

前作『BGM』作成中に心身不調だった坂本が韓国旅行をきっかけに元気になった。そのときインスパイアされた内容が「京城音楽」で表現されている。しかし逆に細野が不調に陥り、その状態が「灰色の段階」という曲名で表現されている。

サンプリング[]

テンプレート:出典の明記S 前述の通り、『テクノデリック』は”世界初のサンプリングミュージック”と言われることがある。しかし、実際は同時期に複数のアーティストが開発中であったサンプリングマシン(代表的なものに「Emulator」がある)をレコーディングに用いておりテンプレート:要出典、前後関係ははっきりしない。 ただし、他の作品と明らかに異なる点は、多くのアーティストはサンプリングマシンを「メロトロンの電子版」として使っていたのに対し、YMOはスタッフが独自開発したサンプリングマシン「LMD-649」を使い、オリジナルの音(ドアやドラム缶をたたく音、「ミョン」「チキ」「パーッ」などの人間の声、工事現場の音など)や新しい音像を作ることに注力、さらにそれがギミックでは終わらず演奏と一体化していることである。その活用法が衝撃的だったゆえに”世界初”とされることが多いのであろう。

レコーディング[]

  • レコーディングは前作『BGM』の発売日(1981年3月21日)から開始され、10月13日まで長期間行われている。
  • 録音に関しては『BGM』ではデジタル録音を導入したが、デジタル特有のエラーノイズの問題や編集効率の問題から「体操」を除きアナログ録音に戻した[1]

アルバムジャケット[]

アルバムジャケットは二種類存在し、初回ジャケットはメンバー三人の写真があしらわれたもので、これは彼らの意にそぐわないものであったといわれる(メンバーの顔が出ていないとYMOのアルバムと気づいてもらえないのではないかというレコード会社側の意向という説がある)。再生産版からはジャケットが変更され、現在の再発CDでも使われている女性の肖像のデザインとなった。

曲目[]

  1. ジャム PURE JAM
    (music by Yukihiro Takahashi, words by Yukihiro Takahashi, Peter Barakan)
    このアルバムの中でもっともポップなナンバー。イントロの高橋のコーラスに関して細野はサイケデリックであるとコメントしている。曲の最後では逆回転で録音したモチーフが使われている。タイトルと歌詞の内容は当時アルファレコードの1階にあった喫茶店「BAN」のメニューにあった、とても分厚いパンにジャムののったトーストが不細工だったことを意味している(彼らはレコーディング中のスタジオから喫茶店に軽食をよく注文していた)。細野や坂本によれば、欧米のミュージシャン達はこの他愛もない詞を深読みして「何か意味深なことを語っているのではないか」とよく質問したそうである。作曲は高橋名義ではあるが、サウンドの大部分は細野が担当している。シンセサイザーが「うねうね」しているのはそのためである。「それジャムでしょ」の部分はハンディ・トーキーを使っている。なお、この曲はアルバムでは最初に収録されているが、録音は一番最後に行われた(トラックシートではM-8)。
  2. 新舞踊 NEUE TANZ
    (music & words by Haruomi Hosono, Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi)
    インドネシアケチャをモチーフにしている。そのため、仮タイトルは「ケチャ」だった。ピアノはプリペアド・ピアノが使われており、坂本のみならず、高橋も演奏している。
  3. 階段 STAIRS
    (music by Yukihiro Takahashi, words by Yukihiro Takahashi, Peter Barakan)
    重々しいピアノとベースが特徴的。レコーディングが開始しても誰も作業しなかったため、高橋が仕方なく作り始めた曲(トラックシートではM-1)。『カルトQ』YMO編で優勝した元電気グルーヴ砂原良徳が「YMOで最も好きな曲」として挙げている。砂原の参加したYMOのリミックスCD『Technopolis2000-01』では、同曲を取り上げ、高橋幸宏に「一番好きなリミックス」と言わしめている。
  4. 京城音楽 SEOUL MUSIC
    (music by Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi, words by Ryuichi Sakamoto, Peter Barakan)
    ガムランと声(パーッ、フク、チキ)によるパーカッションが印象的な曲。アルバムの3番目に録音された(トラックシートではM-2)。途中のヴォイスはトランシーバーの声を録音したもの。プリペアド・ピアノが使われている部分もある。坂本が韓国取材をした際の印象を元にしたもので、軍政下の韓国の事情をうかがわせる。
  5.  LIGHT IN DARKNESS
    ( music by Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi)
    細野のベースは、坂本と高橋の「チャック・レイニーみたいなベースを」とのリクエストに応えて弾かれたもの。大豆油の缶をたたいている音がサンプリングされている。またハイハットは人の声をサンプリングしたものである。1982年西ドイツ映画「セカンドフェイス」にて使用された。
  6. 体操 TAISO
    (music & words by Haruomi Hosono, Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi)
    シングルカットされた曲。詳細は「体操 (YMO)」を参照。アルバムの中では最初に録音された。
  7. 灰色の段階 GRADATED GREY
    (music & words by Haruomi Hosono)
    細野がリズムをループ仕立てにして作った曲。また細野は歌い方を工夫し「ジョージ・ハリスン的な発声法をしてみた」と語っている。
  8. 手掛かり KEY
    (music by Haruomi Hosono, Yukihiro Takahashi, words by Haruomi Hosono, Peter Barakan)
    細野、高橋は、この曲について「CUEの続編」と語っている。坂本によると「YMO版ハイスクールララバイ」。シングル『体操』のB面にも納められている。スネアは石油缶をサンプリングしたもの。このアルバムではシンセサイザーはほとんどプロフェット5を用いているが、この曲のみアープ・オデッセイをベースとして使っている。
  9. 前奏 PROLOGUE
    (music by Ryuichi Sakamoto)
    3/4拍子のミニマル・ミュージック。また右と左とでカノンの形式が取られている。バックで流れる機械の音はエンジニアの飯尾芳文が録音してきた工場の音(録音したスタジオAは東京の芝浦にあり、すぐそばに工場があったため簡単に音を録ることができた)。このノイズは次の「後奏」にまで続いて続ける。仮タイトルは「青函連絡船」。
  10. 後奏 EPILOGUE
    (music by Ryuichi Sakamoto)
    機械の音の上に、鉄工所の音のサンプリングが重なり、分厚いストリングスが重なる。仮タイトルは「おやすみミュージック」。録音は前曲「前奏」と同時に行われている(トラックシートではM-6)。

参加ミュージシャン[]

出典[]

  1. サウンド&レコーディング・マガジン 1999年11月号
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