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[[Category:坂本龍一の作品]]

2007年9月11日 (火) 12:16時点における最新版

音楽図鑑おんがく・ずかんIllustrated Musical Encyclopedia)とは、坂本龍一の4作目のオリジナルアルバム。1984年10月24日にミディレコードよりリリース。

解説[]

  • YMO散開後に発売され、ソロアルバムとしては4作目に当たる。
  • 締め切りの無い中、断続的にレコーディングされ、完成までに約1年半もの時間が要された。レコーディングの最中にフェアライトCMIというシンセサイザーを購入したため、同機導入前と以降の楽曲では音の質感が明らかに異なり、”図鑑”の名のとおり楽曲は非常にヴァラエティーに富んでいるが、アルバムのカラーは統一感がとれている。
  • LPレコードA面(「SELF PORTRAIT」まで)がYMO散開以前にレコーディングされたもので、B面(「旅の極北」以降がYMO散開後にレコーディングされたものである。
  • ピアノを弾く坂本の影が蟻になっているジャケットデザインは立花ハジメが担当した。
  • 映画「TOKYO MELODY」で本作のレコーディング風景が垣間見られる。
  • 坂本自身、現在でも「今までのアルバムの中で最高傑作」と評している。

発売形態[]

発売当初は、LP+12"シングルの初版、LP+7"シングルの通常版、高音質盤LP+7"シングルの限定版、カセットテープ、CDの5種類のフォーマットで発売された。 12"シングルのA面は「REPLICA」と「マ・メール・ロワ」、B面は「TIBETAN DANCE (VERSION)」。 7"シングルのA面は「REPLICA」、B面は「マ・メール・ロワ」。 CDはLP+7"シングルと同内容。 カセットテープ版ではCD収録曲に加え、前年発表の日本生命プロモ12"シングル「LIFE IN JAPAN」から「きみについて」が追加されている。(その「LIFE IN JAPAN」収録の「夜のガスパール」「青ペンキの中の僕の涙」は未収録)。 その後、CD未収録曲を追加した「完全盤」「完璧盤」に加えて「純金CD盤」も登場した。

収録曲[]

  1. TIBETAN DANCE
    • 作曲:坂本龍一
    坂本がニューヨークでピアノを弾きながら、チベットの少女のダンスをイメージして作られた曲。ハーモニーが西洋的であるのにメロディにペンタトニックが使われているのでアジア的にも聞こえる。イントロはタンバリンとハンドクラップを組み合わせたリズムに、テープの逆回転が重ね合わされている。5小節単位のシンプルなメロディーが繰り返されるが、あまりにもシンプルすぎてかえってアレンジが難航した模様。ドラム高橋幸宏ベース細野晴臣ギター大村憲司。録音当初は10種類ほどのテイクがあり、山下達郎のヴォーカル版も存在したが、歌詞のイメージが違っていたため、結局ヴォーカルなしとなった。後の”NEO GEOツアー”等で歌詞付きヴァージョンが演奏されたこともある(EPOによるヴォーカル版もある)。2005年9月28日に発売のアルバム『/05』にピアノ連弾ヴァージョンが収録されている。(M-1)
  2. ETUDE
    • 作曲:坂本龍一
    坂本流ジャズの習作。ジャズ評論家・演奏家たちからは「同期ジャズ」と呼ばれていた。曲中の4ビートになる部分のドラムは山木秀夫、それ以外は坂本がドラムを叩いている。坂本のアルバム『メディア・バーン・ライヴ』でライヴ・ヴァージョンが収録されている。(M-7)
  3. PARADISE LOST
    ジョン・ミルトンの失楽園をイメージした曲であり、坂本の南方憧憬を表した曲。1983年2月頃に作曲された(このときM5だった)。ゆったりとしたレゲエのリズムに乗せ、ヤン富田スティールドラムをたたいている。その他、近藤等則トランペットで、山下達郎エレクトリックギターで参加している。
  4. SELF PORTRAIT
    • 作曲:坂本龍一
    鍵盤で遊びながら湧いたメロディと均整の取れたハーモニー進行と合わさってできた曲。高橋幸宏(ドラムス)らしい8ビートが曲を引っ張る。ギターは山下達郎。後にアルバム『メディア・バーン・ライヴ』にライヴ・ヴァージョンが収録された。またシングル『08/21/1996』ではピアノ三重奏にアレンジされたヴァージョンがある。なお、この曲は映画「子猫物語」でも使用された。(M-6)
  5. 旅の極北
    • 作曲:坂本龍一
    坂本の北方憧憬を表した曲で「PARADISE LOST」とは対極をなす。フェアライトCMI導入後のテイク3が採用されている。題名のない音楽会でオーケストラで演奏された。(M-21)
  6. M.A.Y. IN THE BACKYARD
    • 作曲:坂本龍一
    坂本の作品では珍しく、マリンバが終始使われている楽曲。曲は別々の日に作曲された8つのスケッチをフェアライトCMI上で再構成されている。タイトルの”M.A.Y.”は当時高円寺の自宅裏庭に集まっていたノラ猫たちのことで、M=モドキ、A=アシュラ、Y=ヤナヤツの意味(ヤナヤツは他の子猫がエサを食べていると横から突き飛ばして横取りするところから命名)。坂本は「珍しく描写音楽的タイトル」とコメントしている。この曲はセイコーのアルバサクセスのCMで使用され、プレゼント用にシングルカットもされた(B面は「マ・メール・ロワ」)。また、”M.A.Y.”の部分は「エム・エイ・ワイ」と呼び、ラジオ局アナウンサーが「メイ」と発音した事実を知った坂本は激怒した。アルバムのトラックはテンポが遅く、グルーヴ感がないため坂本本人は実は気に入っていない。後のライヴにおいて様々な編成・アレンジで再演され、ライヴアルバム『”スウィート・リヴェンジ”ツアー1994』やアルバム『1996』に再収録されている。年を経るごとにテンポがアップする傾向にある。(M-28)
  7. 羽の林で
    • 作詞・作曲:坂本龍一 / 翻訳:ピーター・バラカン
    全体のゆったりとしたテンポと、その中の非常に微細な音の二重構造になっている。デイヴィッド・ヴァン・ティーゲムの型にはまらない色彩豊かなパーカッション、山下達郎のギターによるコードプレイが効果的に使われている。ちなみに、この曲と「森の人」「マ・メール・ロワ」はほぼ同日に作曲された(坂本によると「三姉妹」)。立花ハジメによってこの曲の映像作品が制作されている。後に”D&L”ツアーで再演された。(M-25)
  8. 森の人
    • 作詞:矢野顕子 / 作曲:坂本龍一
    タイトルの”森の人”とは、オランウータンのこと。シンプルな曲だが、何度も転調を繰り返す。坂本はこの曲のことを”おやすみミュージック”とも言っている。(M-27)
  9. A TRIBUTE TO N.J.P.
    • 作曲:坂本龍一
    ”N.J.P.”はナム・ジュン・パイクのこと。坂本の学生時代(1975~76年頃)に作曲された。サックスは清水靖晃。3/4拍子であるが、最初聞いただけでは一体何拍子なのかが判別が付かない。また、ジャズ的な印象を受けるが、メロディーが無調的・和声の4度進行もほとんどない等、楽曲の構造自体はジャズからは遠い。中間部ではナム・ジュン・パイクの声がコラージュされている。このアルバムの最後に録音された(M-35)。後にアルバム『メディア・バーン・ライヴ』でライヴヴァージョン、アルバム『1996』でピアノ三重奏ヴァージョンが収録されている。
  10. REPLICA
    • 作曲:坂本龍一
    サンプリング音によるリズム・淡々と刻まれる低音部(途中からバスクラリネットが加わる)・ホルン系の音色による半音を基調としたフレーズが延々と繰り返される中、様々な音たちが現れては消えるミニマル音楽。全音上に転調する3分16秒(CDタイム)以降、きらびやかな音色が加わり曲の雰囲気は一変する。ナム・ジュン・パイクによってこの曲の映像作品が制作されている。リズムの「ガガッ」「ジャ、ジャ」の音はタイプライターをサンプリングしたもの。「題名のない音楽会」やアルバム『プレイング・ジ・オーケストラ』でオーケストラ演奏された。(M-29)
  11. マ・メール・ロワ
    • 作曲:坂本龍一
    タイトルは「マザー・グース」のことで、モーリス・ラヴェルに同名の曲がある。坂本の曲としては珍しく、子供たちの声(ひばり児童合唱団)によってメロディーが歌われている。中間部のメロディーやコードチェンジからは、坂本のロマンティシズムが垣間見れる。トランペットで近藤等則、パーカッションでデイヴィッド・ヴァン・ティーゲムが参加している。(M-26)
  12. きみについて
    • 作詞:糸井重里 / 作曲:坂本龍一
    元々は、ニッセイのキャンペーンレコードに収録されていた曲。ベースは坂本自身の演奏。イントロの「コッコッコッカッ」の部分は一番最後のテイクで追加された。作詞は糸井重里。歌詞の内容に関して坂本は「恥ずかしい」と発言している。
  13. TIBETAN DANCE (VERSION)
    • 作曲:坂本龍一
    原曲に使われている楽器たちが入れ替わり立ち代り主役を務める、いわゆるリミックスヴァージョン。メロディーすらも途中で寸断される。中間部は、よりギターのカッティング中心のミックスになっている。また、曲の節目にテープを逆回転させた音が多用されている。

※曲目はCD『音楽図鑑完璧盤』を参照した。

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